好きと得意

 年に何百冊も小説読むダイスキーな人が書いた小説が、びっくりするほどつまんねえってのはよくある話で。
 好きと得意はかなしーぐらいに違う。

 俺もそういう節はあって。今まで自分のことをネクラだと思ってて、引きこもりダイスキーを自称してたんだけど、よく考えたら社交的な人間だった。1文でここまで矛盾するとは。
 
 子供の時はすごい社交的っつーかガキ大将の立ち位置だった。男女別け隔てなく楽しく遊ぶ、今の俺からすれば鼻で笑ってしまような、考えられないリア充だった。
 それが数年したら「リア充なんかに絶対にならないんだからっ!」と心に誓ってた。いつのまにかそうなってた。すげーひねくれてて、髪がオレンジのソフトモヒカンで、田舎のヤンキーにケンカ熱視線を送るような人間だった。田舎の人間がネクラをこじらせるとヤンキーになるんです。

 ターニングポイントはたぶん、いじめられてたからだと思う。

 特筆すべき凄惨ないじめは受けてないんだけど、クラスの皆が笑ってるなか、俺だけレイプ目だったことを覚えてる。ズレてる面と平和主義者な面があって「人を貶したり、ぼーりょくふるったりしちゃいけないんだぞ」って本気で考えてた。それが一部の人間からすれば格好のカモだったらしい。いつのまにか教師の心証も悪くなってて、学校生活敵だらけだった。知らん犯罪の犯人にされたりしてた。いじめる奴は頭いい。

 んで、「ぱっとみて明るく楽しい人=敵」みたいな方程式が成り立っていた。意地になって「俺はあんな奴らとは違う」って考えてた。これはもう最近、今日のお昼にスーパーへ買い物に行くまで信じ込んでて「働くならなるべく人と関わらない、井戸の底で延々と土を掘るような仕事がいい」っておもってた。

 でも、それは俺にとって我慢なんだ。それに気づいた。
 実は引きこもるような生活に向いてなくて、中退したときに1ヶ月だけ本当に何もしない部屋からも出ないニート生活を送っていたんだけど、そのうち我慢できなくなって友達の家に遊びに行ってた。友達とバカするのが楽しかった。
 バイトしてても、初対面の人と5分で打ち解けて契約ゲットとかしてた。心のなかでは「俺は早く仕事を終わらせたいだけだ」って念じてたけど、なぜか他の人よりそういう分野は強かった。

 気持ち的には今でもネクラが好きだし、そういう人間に好意を持つんだけど、自分が得意なのは社交的な場面なのかなと……。新宿でナンパするホストみたいにはいかないけど、伸びしろがあるのは人と関わる方面っぽいな。
 さーて困った。とりあえず部屋の明かりを消してアニメでも見るか。

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