親のこと聞かれてもちょっと困る。

「子供のこと心配しない親なんかいねーんだからさぁ」

 ホームレスしてるとき、寝床を貸してくれるおっさんに言われた。

「ハハハ、そうですねぇ」

「帰ってみたら?」

「いやー……」

 返答に困る。
 おっさんは住所不定無職に自分ん家の一室を貸してくれるナイスガイなので、あまり本音を話すようなことはしたくない。本音を言えば「親を殺すか自分が死ぬか悩んで、前に自殺しちゃったことがあるので会ったらどうなるのかわからないから会わない」なのだが、こんなこと言っても楽しい食事の席を乱すだけなので言わない。

 こういうことが間々ある。

 「それでも、親はお前のことを思ってそう言ったんだと思うぜ」男気のある人はこう諭したりしてくる。
 「あーわかる。私も……」自分語りを始めるのは女性が多い(こっちのほうが助かる)。

 良くも悪くも、子供時代に聞かされる親の言うことって呪いを帯びててさ。「お前は運動ダメだから勉強頑張んなさい」って言われれば、たぶん子どもは勉強を強烈に意識するようになると思うんだよね。それで偏差値高い大学入るかひねくれるかはまたいろいろ事情があるだろうけど。

 強烈に焼き付いてるのは「全部お前が悪い」というメッセージで、親からは箸の持ち方は教えられてないけどそれだけは教育されたと言ってもいいぐらいだ。
 後は「お前が大学入れたのは俺が金出したから」みたいなことも言われていたので、なるほど、金がないから大学行くの渋ってたけど、入ったら入ったでこう言われるのか。金が稼げない自分が全部悪いな、と。ひねくれて精神的には完全に内に篭った。

 親は独善的で、こっちの話を聞かなくて、その全ては俺に原因があって、もうさっさと離れて独りになりたかった。

 例えホームレスであっても独りは良い。余計な声を聞かなくて済む。独りが良い。

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