ネカフェに人が住んでいる

 もうごまかしが効かないほどに、ネカフェに人が住んでいる。

個室を仕切る170センチほどのパーテーションからはみ出て、”地層”がチラチラ見える。

 積み上げられた文庫本の山だとか。

 春なのに冬季限定の文字が伺えるコーヒー缶の山だとか。

 旅行にしては多すぎる私服の山だとか。

 法則としては、「店内に月極のコインロッカーがあるネットカフェ」は人が住んでいる。だいたい月5000円ぐらいで”タンス”が借りられる訳だ。

 それにしてもこのネカフェ、ゲラゲラ浅草店には居住者が多い。壁際の個室はほとんど居住者じゃねえか。観光で来てる人はシャンプーをボトルで買い置きしたりしない。なんだこの生活臭は。

 この店だけじゃない、東京近辺のネカフェは明らかに居住者が増えてきてるし、居住者向けのサービス内容に変わってる。

 今までは「24時間パック」がどの店も最長プランだったが、「3日間プラン」や「1週間プラン」を掲げる店も少なくない。だいたい24時間3000円ぐらいで借りれるから、月9万円の家賃で住む計算だ。これは単純な家賃だけではなく、水道光熱費、通信費、ドリンク代(シャワーあるところはガス代も)も加味しての値段なので、都会ならそう悪くない値段だ。ネットカフェは駅の近くに店を構えているため、派遣労働者にはコスパの良い住居なのかもしれない。暇だったら漫画も読めるし。

 昨今はシェアハウスなんて小分けされた3~5畳の住居が市場に出回っているが、どこも入居希望者で順番待ちの状態だ。てっとり早く拠点を構えるにはネットカフェは向いている。

 別に部屋に呼ぶ恋人もいないし、結婚する予定もないし、一人でフラフラ生きていきたいならもうこういう生き方でいいんじゃないかと思う。
 金が欲しくて働いて寝るだけのその日暮らし、嫌だったら別の仕事に変えられる。同じ職場にしがみつかなきゃならない会社員以外の選択肢が、すぐそこに転がってる。どっちがいいかは人それぞれだと思うけど、どっちもその日暮らしに見える。人が何を抱えて仕事してるかなんて、ちょっと見ただけじゃわからんが、選択肢が増えたんだな。

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